そうめん 

夏になると関西では<そうめん>を食べます。湯がいてから流水にて揉むようにして油分や塩気を取り、冷たく冷やしてそうめんの汁と薬味で頂く。これがないと関西の夏は始まらない。Pの家も毎年梅雨の頃に9キロの箱入りを買い求めることにしている。まぁ、人数が多いという事もあるし、麺類が大好きだという事もある。(笑)

実家の父は東北出身なので、そうめんはあまり食べない。いわゆる<冷麦ひやむぎ>を食べる。毎年の様にそうめんにするか、ひやむぎにするかで喧嘩をしているのであるが、どちらにしても今度は汁が問題になる。

大阪で一般的な汁は、干しエビと干ししいたけ、昆布とかつおで甘く煮て作る甘い汁で、ここに薬味として生姜のすりおろしにねぎを加える。父が作る汁は、鶏肉で出しを取り、茄子を入れてざる蕎麦の汁のように真っ黒で、これを冷やすから鶏肉の油が固まったように浮く。実はこれがまたまた喧嘩の元で、関西風じゃないとべない母と、「そんな甘いのは食えるか!」という父との折り合いはつかない。(笑)母が元気な頃は母は自分で、父も自分でとそれぞれ自分の「マイ汁」を作りそうめんと冷麦をそれぞれ食べていた。しかし、母が自分で料理を作れない身体になり今では父流の汁で渋々食べているのである。これはいささか可哀想な気もする・・・。

Pと言えば、やはり干しエビが入った母流のそうめん汁でそうめんを食べる。結婚してからもこれは変わらず、今もそうである。主人は市販のそばの汁のような(甘くない)そうめんの汁で育ったが、Pと結婚してからはP流の汁が事の他気に入り、そうめんの汁は必ず干しエビを使った大阪流を頼む。一度に湯がくそうめんの束は20束。これが一瞬にして無くなる。

10年ほど前に父方の実家(東北)へ行くことがあったのだが、そこここに<そうめん流し>の看板を目にした。これにはいささか驚いた。東北は冷麦だと思っていたからだ。残念な事に食べる機会は逃してしまったが、汁が気になる。(笑)近頃は、季節感が無くなったと言われるが、食べ物も地方色が無くなってしまって、一般向けする食べ物がどこへ行っても食べられるようになってしまって、これはあまり賛成出来なかったりする。その地方で食べられていた食べ物を、旅行した時ぐらいは食べて見たいと思うのはPだけなのだろうか?少々寂しい気がした。

また巡り来る夏・・・そうめんを食べながらこんな事を思い出した。

               平成15年8月6日 P-SAPHIRE

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