*- 冷たい雨 その1 -*
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 冷たい雨にうたれて 街をさまよったの
もうゆるしてくれたって いい頃だと思った
部屋にもどって ドアをあけたら
あなたの靴とだれかの赤い靴

だけど信じられない 突然の出来事が
こんな気持のままじゃ どこへも行けやしない

彼女の名前 教えないでね
うらむ相手はあなただけでいい

涙こぼれるように 時もこぼれてゆくわ
指と指のすきまを そしていつか忘れたい

詩:荒井由美
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 一流とまでは言えないけれど、大学受験になんとか滑り込み、ホッとし

たのか、風邪を拗らせてしまって、近所にある病院で診察をして貰いに行

った。もうすぐ三月だと言うのにまだまだ外は寒く、受付の暖房の暖かさ

がとても嬉しく感じ、待合室でお年寄りの話を聞くとはなしに雑誌をめく

り、あまり興味も無い芸能ニュースをただ目で追っていると、看護婦さん

の声が私の名前を呼んだ。「中本さん、中本頼子さん、診察室へお入り下

さい。」「はい・・・」読みかけの本を棚に仕舞って、診察室へと向かっ

た。無精ひげの先生が、何か話していたが、熱のためか頭がぼーーっとし

てしまっていて「・・・とりあえず点滴を受けてもらいましょうね」とだ

け聞き取れた。「え?点滴???嫌だな・・・」そう心で思いつつ、ベッ

ドに横になり、ほぼ1時間点滴を受けた。その間の事は覚えてない。きっ

と熱でうとうととしてしまったのだろう。針を抜いた痛みで我に返り、処

置して貰う間中、天井ばかりを見ていたような気がする。薬を受け取り、

受付でお金を支払い、その場から立ち去ろうとした時、どこからか声が

聞こえてきた。「・・・さ〜ん、中本さ〜ん、診察券忘れてますよ〜」

なんともトボケタような声。ふと振り返ったら、隣の男性が診察券を見な

がらしきりに私の名前を呼んでいた。「あ、すみません・・・」点滴をし

て貰っている間寝ていたものだから、まだ頭がぼーーっとしていたらしい

。受付のテーブルに、診察券を忘れてしまっていたようだ。私は、丁寧に

お礼を行って外に出た。さっきまでの暖かさが一気に冷え込むような外気

。さすがにぼーーっとしていた私の頭も、いやがおでも正気に戻してくれ

た。



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04.01/16 作:P-SAPHIRE

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