大阪弁探訪

「大阪弁と聞いて、何を1番に思い浮かべられますか?」
今までに出会った関西圏外の人に幾度かこの話をしたことがあります。すると大抵は「ヤクザ」「吉本のお笑い芸人」「曖昧な言葉」などと言う返答が大半を占めました。本当にそう言う言葉なのだろうか???長年(?)大阪人をしているPには良く解らない。

確かにTVや映画に出てくるヤクザはその舞台が東京であろうと、どこであろうと関西弁をしゃべっている。申し訳無いのだけれど、これには笑ってしまいます。そしてとてつもなくオカシイ発音で、ズッコケてしまう。「なんやこの発音、成ってないやん!」って感じです。(笑)

大阪弁と一口で言うけれど、本当は幾つかの地域によって微妙に違う。大雑把に分けると・・・・大阪北攝地域<攝津言葉>大阪中央部<浪花言葉>大阪東南部<河内言葉>大阪南部<泉州言葉>と4つになる。

「北摂地域」・・・新興住宅街が多く、大阪の人間ではなく地方から来ている人が集まっているので、ほぼ標準語に近い。

「大阪中央部」・・・いわゆる大阪の船場を中心とした商売人の言葉で、京都弁にニアンスが似ている。

「大阪東南部」・・・東大阪市から八尾市、藤井寺市、羽曳野市のいわゆる<河内弁>で、奈良と隣接しているので奈良弁と良く似ている。

「大阪南部」・・・堺市、岸和田市から和歌山までの泉州地域で使われている言葉で、不思議な事に大阪市内の言葉よりも大阪市内を飛び越えて、兵庫県の瀬戸内海沿いの明石や加古川の言葉に似ている。どちらも大阪湾隔てて向こうとこっち。漁師たちの交流があってのことかも知れない。

郵政省が行ったアンケートによる大阪人の「好きな大阪弁」は・・・

1位・・・「おおきに(ありがとう)」
2位・・・「好きやねん(好きです)」
3位・・・「まいど(毎度:通常こんにちはの挨拶の代りに使われる)」
4位・・・「ぼちぼち(まぁまぁ、なんとか、ゆっくりなど色々な状況で使われる)」
5位・・・「もうかりまっか(儲かっていますか)」

以下「まいどおおきに」「ほんま」「あかん」「ほな」「かまへん」と続く。

若い女性のアンケートではこうなる・・・
1位・・・「ちゃうちゃう(違う)」
2位・・・「あかん(ダメ)」
3位・・・「なんでやねん(どうして?)」
4位・・・「めっちゃ(とても)」
5位・・・「ええやん(かまわない)」


大阪の人間の言葉を理解するにはとても難しいとされる。それは大阪イコール商人の町だからである。関東の武家社会では、はっきり物を喋らないと、色々な地域から来ている人がいるので意思の疎通がはかれなかった。それに対して大阪は商いの町だからはっきりと話をしてはお客の気分を害する事があるので、話をやわらかくオブラートに包んで遠まわしに話す。これが昨今どうも災いしているように思われるのはPだけでしょうか?(^^ゞ

しかもメディアの発達によって、大阪弁も様変わりしてきているように思う。連日TVやラジオなどでお笑い芸人が出演して使っている言葉が「大阪弁」だとカン違いされている。これは全く考え違いである。(笑)ネットをしていて、関西圏外から友達が訪ねてくれることがあるが、良く言われるのが、「大阪の人だと思ったからてっきり大助花子の花子さんのような喋り方だと思った」である。(爆)「大阪弁にも色々あるからなぁ〜」と言うようにしている。

Pは大阪市内に生まれて育っているので、どちらかと言えば浪花言葉に近いと思う。しかしその言葉もメディアの普及と共にだんだん変化してきて、今現在浪花言葉を話せる人はほとんどいない。とてもやわらかく、自分を落として相手を立てつつ話をする人が減ってきているようだ。どうも吉本興業の影響が大きい。しかし、吉本イコール大阪人とは限らないのである。生粋の大阪人は意外と少ない。あそこまで汚い言葉を普段から使っていると思われるのははなはだ侵害である。(笑)

しかしながら、その芸風はしっかり大阪人気質から生まれているのは確かであろう。「大阪の人間二人寄ったら漫才」と言うのは本当の話。一般人にもしっかりとボケとツッコミが備わっていて、相手によって使い分けたりも出来る。自分の失敗を話し親近感と優越感を相手に植え付け商売をする。これがとても上手い。一種の話芸である。しかし関東の人間にはこれが出来ない。自分を優位に立たせないと、相手から見下されるというやはり武家の上下社会がここにも反映される。大阪の人間は自慢話をあまり好まない。自分の失敗した話の方が好まれる。そこで笑いを取る。

しかし、その笑いが空回りした時はすごくショックで、次は笑わしてやろうと考える。これはその場の雰囲気を盛り上げ、楽しませるという奉仕の気持ちでもある。自慢話をしてしまっては、その場がシラケてしまって後が続かなくなってしまう。聞いている人間も「あほなやっちゃな〜」と言いつつも、相手を本気で馬鹿にしているわけではない。親しみを込めての言葉である。

東京と大阪の言葉の壁は結構ある。<>を関東弁「」を大阪弁で表わすと、

「なおしといて」と言って<どこを修理するの?>となる。これは修理を意味するのではなくて、引き出しなどに物を仕舞うことである。(笑)

「あほやな〜」と言って<馬鹿だけどあほじゃない>と喧嘩になる。大阪の人間は人を「あほ」と良く言うが、決して馬鹿にしているのではない。とても親しみがある言い方で「憎めない人だ」と言う意味も含まれる。関東で言う<馬鹿>がそれに値するかどうかは定かではないが、大阪の人間に「馬鹿」と言うと喧嘩になるのは確かな話で。「救いようのないどうしようもない奴」に値する。(笑)

東京生まれの親しい友人が運転する車に乗ると必ず「ったく〜!!」という。大阪で「タク」と言うと<タクシー>を意味するのだが、辺りにタクシーは見当たらない。どうやら割り込んできた車に対して「全く!!」と言う意味らしい。(笑)これを大阪弁で言うと「なんちゅう〜やっちゃ!!」になるだろう。「やっちゃ(奴や)」と言うがこれは人を指しているとは限らない。物に対してもこう言う。ここでもあやふやさが解って頂けるだろう。

「大阪は食い倒れ」と言われるが、一般の家庭での料理の名前は結構曖昧な名前である。ほうれん草であれ、菊菜であれ、<菜っ葉のたいたん>で済ます。この<たいたん>と言うのは<煮物>を意味するが、炒め煮も含まれていたりするから意味不明だったりする。<こんにゃくのたいたん>とか、なんでも<たいたん>が多かった。(爆)しかし、馴れとは面白い物で、この<たいたん>の前の言葉で大体のその料理が何を指しているのかが暗黙の了解的に解ってしまうのである。(爆)

育ち盛りの子供を持つ家庭では、大抵母親の顔を見るたびに食事の献立を聞くのである。関東では「おかずは何?」と聞くらしいが大阪では「ごはん何?」となる。ここで母親の答えが笑える。「ご飯はご飯や!!」そしてこの会話が毎回繰り広げられるのである。エ?(・▽・;)それはPの家庭だけ???お後が宜しいようで〜〜チャカチャンリンチャンリンチャンチャン♪<(_ _*)>

03.6.30

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