<通 草:あけび>について

 山道を歩いていると、木々の間から赤紫色で楕円型の実がぶら下がっているのに出会う事があります。つる性植物なので、大きな木に蔓をクルクル巻きけながら天を目指すように伸びて行きます。さて、なんと言う植物の実でしょうか♪

 その植物の名前は・・・アケビ。漢字は<通草>です。通す草・・・これでアケビだなんて!読めませんよね。(笑)茎の導管が太くてすべて通じていることから、通す草と漢名がついたと言われています。三つ葉アケビのつる性の茎は木通(もくつう)と言う生薬です。

 山形では、秋のお彼岸には、先祖の御霊が<アケビの舟>に乗ってこの世に戻って来るという言い伝えがあり、その頃になると山からアケビを採ってきて、仏壇にお供えする風習があるそうです。また、東北地方では、アケビを<山女>とか<山姫>とも呼びます。これは、実が爆ぜた姿が女性のある部分に似ているからと言う話しですが、それはご想像におまかせします。(笑)

 アケビの種類はいくつかあるようなのですが、山で見かけるのは、三つ葉アケビ、五葉アケビが多いです。アケビとそっくりな赤紫の実をつけるのがもう一つあります。同じアケビ科のムベ。

 アケビとムベの違いは・・・葉。3枚、5枚、7枚と、同じ蔓に枚数の違う葉を持ちますので、これはすぐに見分けられますし、熟した時に、縦に裂け淡白色の果肉が中から覗いているのがアケビで、裂けないのはムベ。冬に落葉するのがアケビ、常緑なのがムベ。

【効能】利尿作用、抗炎症作用、腎臓炎、膀胱炎、浮腫の薬として用います。果実は、スタミナ果実として、精がつくと言われ、脚気や脳卒中の予防薬として利用されます。

【利用法】

 (若い芽)
   つる先の若い芽を摘んでサッと茹でてから水に晒し、酢味噌和えや油いために。

 (お茶)
    つるを輪切りにして天日で乾かした物を煎じて飲みます。

 (実)実の中の果肉はそのまま食べられます。果肉を取り出した果皮の内側に薄く油を引き、甘味噌をうすく詰めて外が黒こげになるまで焼き、外の薄皮を剥いてから食べると、なかなか野趣あふれる酒の肴になります。

 (アケビ酒)
    あけびの実(中身)  500g
    ホワイトリカー35度  1.8リットル
    氷砂糖  150g
    あけびの皮  1個

   (1)実を取り出して、氷砂糖とともにホワイトリカーに入れる。
   (2)皮を一個入れる。
   (3)3ヵ月後に材料を取り出しさらしでこし、使いやすいビンに移しかえる。

    ※20〜30cc程度を水で割って飲んで下さい。

 (アケビの籠)
    アケビのつるを採取し、一年かけて乾燥させてから編む作業を始めます。つるが硬い場合は水に一晩浸けてから編み始めるとつるがやわらかくなって、編みやすいです。アケビのつるは、一年で随分長くなりますし、通気性が悪いと実が出来にくいため、つるを採取するのは悪い事ではありませんし、自然の素材を生かして作るアケビの籠は、環境への負荷がとても低いところがエコポイントだと思います。(ただし、乱獲はしないで下さいね)

 11月に行われる両槻会<天空の里を訪ねる>(もう終わっています)では、秋の多武峰談山神社から天空の里「尾曽」を巡る予定になっていますので、丁度アケビの実が熟している頃ではないかと思われます。是非ご一緒に探しながら歩いてみませんか?


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